新着情報2010年01月02日
2010年01月02日:咬合力
こんにちは。今日はかみ合わせ・咬合力についてのお話です。これは我々が一番手を焼く、困る、悩む分野ですね。どうにも我々にはコントロールができないし、食いしばりや歯ぎしりをする方には「いやあ、先生、私はしていません」と認めてくれない患者さまも多いですから、それを認めてもらうまでが一苦労、そしてそれを防ぐ(正確にはそれによって歯が傷むことを防ぐ)ことが難しいんですね。
一般には通常はない食いしばり(クレンチング)・歯ぎしり(ブラキシズム)を総称して「パラ・ファンクション」と呼んだりします。余談ですがクレンチングとは「横紋筋の収縮」を指しますので、正確には食いしばりのみを指す言葉ではありません。豆知識。
これらのパラファンクションが存在すると、当然歯は傷みますよね。歯がすり減る、歯にヒビが入る、歯が硬い場合は歯はすり減らずに歯の周囲の骨が減る、歯が折れる、歯が抜ける・・・こういったことが起こります。歯が抜けるとは極端ですが、お一人だけこうなったという話を聞いたことがあります。その方は歯科医師です。
さて、歯がすり減るといっても程度によりますが、ある程度はエイジング(加齢変化)と考えてもいいですね。ある論文によれば「正しい(何をもって正しいかは・・・難しい話です)噛み合わせであれば、歯のすり減りは起こらない」とするものもありますが、これまで拝見したお口の中から考えると概ね多少のすり減りは起こっています。
すり減りが大きくなるとどうなるでしょうか?上顎と下顎の骨格の位置関係は上下の歯の接触により決められていますよね、無歯顎(総入れ歯をお使いの方)以外は。その歯、もしくは総入れ歯の人工歯(入れ歯に着いているプラスティックの歯)が摩耗してなくなったら、上下の顎の位置関係が保てなくなりしまいには舌が動くスペースがなくなりますよね。食事ももちろんできなくなりますよね。
下顎は「バランサー」の役目をしますから、本来はブラ~ンとぶら下がって生体のバランスを取っているものなのです。それが過度の咀嚼筋の緊張によりたえず固定されていたら、生体がバランスをとることを妨げてしまいます。いろんな意味からこのパラファンクションは困ったことなんですね。
しかし、これにも意味があります。ストレスの緩和なのです。マウスの実験データですが、過度のストレスを与え続けたマウスの体内でストレスを受けた時に分泌されるホルモンの量を測定した結果、パラファンクションをさせたマウスの方がパラファンクションを禁じられたマウスより、そのホルモン量が有意に低かったというものです。この結果より、我々が日々受けるストレスを自然と脳は受け入れられない分はこうして発散させているのです。
ということは、今の結論としてパラファンクションは「必要悪」なんですね。でも僕らの領域では「あっては欲しくないもの」の代表選手ですから、こういったもので上下の硬い歯どうしがお互いの強い力ですり減ってしまわないように保護することも、有効な手段ではないかと思います。
僕なりの考えである程度の柔らかさのあるタイプを推奨しています。これでは余計に噛んでしまうというケースも経験していますが、そういった場合には硬い変形しないタイプを用いることもあります。しかし、いきなりハードというのは・・・上下の顎間関係が正常でTMD(顎関節症)が絶対ないならばありでしょうが、問題とはなっていないがその要素がありハードのスプリントにより早期接触をこちらが作ってしまったら、顎関節症が発症してしまうかもしれません。
僕はかみ合わせ認定医ですが、エキスパートだとは思っていません。まだ自分の知らないことがたくさんあると思っています。自分の思い込みで患者さまの体に不具合を起こすわけにはいきませんから、初期の治療としては「ほぼ全員の体に不具合を起こさない」ソフトタイプのマウスガードを装着していただいています。これは保険対応可能ですよ。
明日のなすびはどうするか???





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