新着情報:カテゴリー「噛み合わせ」

2008年11月15日:顎関節症

こんにちは。昨日に引き続き小出先生のセミナーで習って実践していることの一つ、顎関節症についての治療を報告します。顎関節症の治療には根本的な噛み合わせを治す矯正治療(ただし上下顎が正しい位置関係にあるところに、上下の歯を正しく並べることは非常に難しく、その理論的なものは現在確立されていないと思います)と、対症療法的(歯が痛いから痛み止めを飲むのと一緒)なスプリント治療です。

 根本的な治療と書きましたがこれは「上下の顎の位置が正しく、かつ上下の歯と歯の位置関係が正常なこと」ですから、健康な噛み合わせを持っていると思われる人の中でもごく一部の人だけがもつ、そんな状態を矯正治療で作るというのは容易なことではありません。
 
 
 さて今回は後者の「スプリント治療」の一例を見ていきましょう。まず初診から2回目です。初診時は応急的な対応をしました。

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 色々顎関節を傷めてしまう原因はありますが、就寝時の姿勢はだいたいの方が上向きか横向きですよね?まず上向きだと下顎の重さ自体の働きで後ろに押し込まれますね。これに筋の収縮が加わると(クレンチングなどのパラファンクションと一緒の理由ですね)下顎は後上方に押し込まれます。そうすると顎関節症で多い関節円盤の変位を起こしやすいんです。
 この患者さまは復位を伴うⅢaの状態が悪化して痛みを訴えていましたので、それを緩和させて後日スプリントの製作をしました。

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 下顎が夜に寝る時に後方に押し込まれないように、ストップを付けてあるのがわかると思います。ただし、数日経過すると顎の位置が変わるので、その変化を逃してはいけないとか、ずっとつけっぱなしではいけないとか、使用上の注意もあるのです。

 御相談いただければお力になります。難症例では大学病院にご紹介することもあります。


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2008年10月30日:アンテリオール・ガイダンス

こんにちは。実はですね、私が副鼻腔炎になってしまい今朝耳鼻科にお世話になってきました。咽頭炎も併発しており物を飲み込むのが辛かったのですがだいぶ楽になりました。やさしい「双葉耳鼻咽喉科」の寺田先生、いつもありがとうございます。

 今日は昨日に続く咬み合わせの話です。タイトルのアンテリオール・ガイダンスですが過去のブログでも登場している内容なので、5月14日に「前歯と奥歯の役割の違い」として書いていますので、そちらを参照してください。
 初診でいらした時に奥歯がグラグラ、前歯が噛みにくいとのことでした。見ると上の前歯部分はセラミックでブリッジが入っていますが、下の歯と噛み合っていませんね・・・。この状態で1年間使っていたそうです。これでは噛めませんし、お辛かったのではないでしょうか。

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 これでは本来前歯が果たすべき仕事ができす、それを奥歯が兼任しているようなものです。これでは奥歯がダメになってしまいますよね。前歯は右側で噛もうと思ったら右側に、逆はその逆に連れていく「ガイドの役割」が一番の仕事です。これは噛む筋肉から離れた前歯だからできることであって、それを筋肉に近い奥歯がやってしまったら、テコの原理でとてつもなく大きな力となり、歯や周囲組織を破壊する力になてしまいます。

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 ブリッジを撤去して前歯も噛み合うプロビジョナル・レストレーションに置き換えたところです。これで力のかかり方が正常に近づいたことと思います。手遅れになった歯は左上1、前歯ですがグラグラなので1本だけ抜歯させてもらっています。ここから保存可能な歯を極力残して、抜歯すべきものは早期に抜歯して治療を進めていく予定dす。


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2008年10月29日:破折の原因は?

こんにちは。今日お話しするのは「前歯が欠けたんだけど・・・」っていう、歯科医院の受付では良くある話です。私もカレーのスプーンを誤って「ガリッ・・・」ってやったことあります。ちょっとそこのアナタ、上の出ている前歯のことでしょ?って思いましたね?僕の前歯が長いのはホワイトニングについてのブログをお読みになっているか、当院にいらしている患者さまなのでしょうけれど、ざんね~ん、欠けたのは下の前歯でして、上は無事です。上が欠けていれば短くなってちょうど良かったのにって?僕もそう思いました。うまくはいかないものです(笑)。

 では、治療前の状態です。

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 向って左の上の前歯が欠けていますね。それと3番目の歯の歯肉部分が合っていませんね。これを単純に外してやり替えて形態が整うものでしょうか?答えは否。それは無理なのです。噛み合う下の歯との兼ね合いがあって、下の歯の形態や歯並びに左右される(当然下の歯の形態も上の歯に左右されます)わけです。ということで根管治療の必要性からまず撤去して、プロビジョナル・レストレーションを作ったところです。

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 やはりどうしても歯の先端部分が傾斜してしまうのです。それは下の噛み合う歯のポジションに問題があるからなのです。

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 このように歯が若干前に出ているのです。そのため食事中(咀嚼)中はこの位置異常のある歯が動き回るわけです。その範囲に上の歯が存在すれば下から突き上げてしまい、いずれ壊れるということです。それに加え、パラファンクションと呼ばれる「機能異常」、つまり歯ぎしりや食いしばりがあればなおさらです。
 こういった様々なことを仕上げの歯に反映させなければ、とてもじゃないですが長持ちはしません。所詮は人工物ですからいつかは壊れますが、できることならば私どもとしても長持ちしてほしいです。手間とコストはかかってしまいますが良い方法を選択したいものです。


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2008年09月18日:咬耗(こうもう)2

こんにちは。土曜日に学会に参加する関係でお休みをいただいておりますので、今日は臨時で診療日とさせていただきます。9月に入ってから診療すると決まってはいたものの、木曜日は休み、と思われているため予約も空きがあり、ではやるか?と急遽私の母親のインプラントの2次手術を行なうことになりました。

 さて、昨日の「咬耗」の話の続きですがもっと困難なことが起きる、という前振りでしたね。ではまず、1個1個の歯の形を思い浮かべてください。正しい歯並びと仮定して、歯が隣の歯と接触する部分はどこでしょうか?ほとんどの場合、歯の幅が一番大きいところですよね。これはだいたい歯肉より上の部分の、さらに歯の頭の方1/3くらいにありますよね。
 
 咬耗が進行していった場合この一番幅のある場所(最大豊隆部と呼びます)を超えてしまったらどういうことが起きるでしょうか?隣の歯との間に隙間ができますよね。
 しかし生体は一生かけて変化を続けます。その一つが歯の「近心傾斜と挺出」なんです。ちなみに近心傾斜とは歯が手前に倒れること、挺出とは対合する歯に向かって抜けていくことです。この2つの移動ですが量は本来はわずかなんです。上下の歯が接触することで当然擦り減りは(正常な範囲内で)起こりますし、隣の歯とは咬んで圧がかかった時の沈み込量の違いから摩擦が生じて擦り減ります。
 これが起こることで正常な歯並びが維持されるのです。

 ということはですよ。過度な咬耗が進んでしまったらどんどんこの隙間の補填が進むわけです(もちろん例外もありまして、噛み合わせる力が強すぎて歯の移動を妨げるなんてこと、これは矯正をしていても実感としてあります)。
そうすると次に起こるのは「歯並びのアーチの縮小」ですよね。特に問題となるのが永久歯との交換が近いタイミングでのこの変化です。これは歯の位置だけの問題ではなく、骨格的にも大きくなれないことがあるんです。

 乳歯列でこの変化が起きると見えない歯肉の中ではこれから出てくる永久歯が「我先に!」という競争が始まりますが、アーチの縮小により出る場所が狭くなっていて、結果、生え換わりが遅れることが多いように思います。

 誤解しないで下さい。咬耗が進行しているからといって絶対何かしなければならないわけではありませんが、少なくとも正常ではなく注意を要する状態であることは知っておいてください。経過観察を続ければ問題なさそうな状態なのか、できるだけ早期に介入すべき状態なのか、その判断が必要ではないかと思います。まずは気になることがあれば主治医に相談してみてください。


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2008年09月17日:咬耗(こうもう)1

こんにちは。今週は学会のため土曜日を休診とさせていただきます関係で、明日の木曜日は臨時で診療させていただいております。午後はインプラントのオペとファイナルの印象(型取り)があり時間の制約がありますが、午前中は比較的時間に自由があります。何かございましたら、まずはご連絡ください。

 さて、まずは写真からご覧下さい。

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 一見してなんか違うかも?と思いますよね。歯が短いんです。これも程度によっては個性と考えてもいいでしょうけど、ここまで「咬耗」が進むとちょっと問題となってきます。
 咬耗とは「上下の歯が過度に触れあって擦り減った」状態とお考え下さい。大人では一般的に脳がストレスを受けた状態が続き、脳のキャパシティを超えた時に脳の自己防衛反応でストレスの発散を行ないます。その一つが「クレンチング」や「ブラキシズム」と言われる、いわゆる「歯ぎしり」です。また、非機能的な動き、という意味の英語から「パラファンクション」とも呼ばれます。

 歯ぎしり中の力の大きさですが、どのくらいなのでしょうか。日中起きている時におもいっきり噛みしめた時の噛む力を1と考えてください。この非機能的な力は主に脳が休んでる睡眠中に現れます。この時脳は過度にかかる力に対してストップする指令を出せず、一方的に咬み続ける指令を出します。すると最大で日中の最大の力の6~7倍くらいの力がかかると言われます。
 そんな強い力で噛み続けていたら、歯は擦り減りますよね、こんな風に。こうなるといくつかマズイことが起きてきます。一つは歯の硬い部分(エナメル質とか象牙質と言われる部分)が薄くなり、神経までの壁の厚みが減って凍みたりします。ひどい場合は神経が死んでしまい歯肉が腫れてしまったり、歯の色が変色したりして、初めて気づいてお子さんをお連れになる場合もあります。

 しかしそれ以上に深刻な問題を秘めているのです。その問題については明日のブログに続きます。


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2008年06月14日:顎関節症

こんにちは。今日は「噛み合わせ専門医」の宮崎先生が助っ人として来る日です。ブログ上でお伝えしている新潟での研修にも一緒に参加しているのですが、難症例について力を貸してもらっています。いつもありがとう。その彼を差し置いて今日のテーマ「顎関節症」について僕が語るのは、非常におこがましいと言いますか、なんでお前なん?って言われそうですが初歩的なことを、お伝えしていきたいと思います。

 あくびをして顎が「バキッ」「コリッ」など音を立てることはないですか?そこまででなくても「ゴリゴリ」するとか。
 また、音はしなくても鏡の前で大きく口を開いてみると下顎がだんだん左右のどちらかにズレるとか?
 歯医者で「大きく開いてー、はい開いて―」とかよく言われる、それでも開けないんだけど、という方。
ほかにもいろんな症状が考えられますが、これらのうちのどれか、もしくはいくつかが出ている場合、顎関節症が疑われます。

 顎関節症は下顎の骨の一番上にある「関節頭」と、頭蓋骨(頭の骨)の「関節窩」、それとそれらの間に挟まった軟組織(線維性の組織)である「関節円盤」の不調和が起きて様々な症状が出るのです。上下の歯が噛む位置と、噛んだ時の上下の顎の骨の位置関係、その両方が一致してないと理想的な噛み合わせではないわけです。①上下の歯はいいカンジで噛んでいるが、上下の顎骨どうしはズレている、か②上下の歯がうまく噛み合わず顎の対向関係も良くない、この2つが多いのではないでしょうか。
 上下の骨の位置関係に問題があると、その間に挟まった「関節円盤」も障害を受けます。まず、硬い物と硬い物に挟まった柔らかい組織は簡単に変形します。変形に留まらず関節円盤自体が変位することもあります。関節円盤の前後は靭帯と筋肉が付着していますが、それらも軟組織ですから変形を起こして靭帯などは伸びきったロープのようになり、もはや復位(もとの位置に戻る)することができなくなることもあります。顎関節症と思われるような症状が出て何年も経過するような方の場合も、やはり容易には元に戻りません。

 若年者であり、症状が出て間もなければまだ回復が見込めるかもしれませんので、このような症状が見つかったらまず現在の自分、もしくはご自分のお子さんがどういう状態なのかをしっかり把握しましょう。一次的に外傷によってそういった症状が出ているだけなのか、噛み合わせが良くないことが原因になっているのか、正しく理解をしてください。その上で処置が必要なのか考えましょう。

 時々誤解されている患者さまがいらっしゃいます。「矯正をすれば顎関節症が治るんですよね」とおっしゃる方です。これは改善することもあれば、矯正をして顎関節症の根本原因を治しても顎関節症自体はもはや治癒しないような変化が起きている場合も考えられます。たとえば『ヘビースモーカーの方が肺がんになり、原因であるタバコを止めれば肺がんが完治するか?初期の病気であれば完治するし、進行して転移があれば厳しくなる』のと近いのではないでしょうか。ただし将来起こりうる悪い変化を最小限にする、という意味では矯正治療の恩恵ははかり知れません。ここから先は症例ごとに違ったニュアンスが出て来るので、できれば個別にご相談いただければ、もっと踏み込んだ説明をさせていただきます。

 1例を提示します。顎関節症があり、不正咬合がある患者さまです。まず、TMDを改善すべくスプリントというプレートを使いました。目的は下顎の自由度を上げて噛み合わせに左右されない顎関節の位置に戻ることを目指します。この方の場合2か月くらいスプリントのみで様子を見ました。すると顎の関節部分の痛みや違和感は消失し改善を見ました。PICT1906.JPG

 その後、そのポジションで上下の歯並びを作るために矯正治療を進めました。途中顎のポジションは流動的であることを考えチェックしながら進めていく予定です。
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 今回示したケースは現在進行中の治療であり、今後追って御報告したいと思います。なお術前、術後の評価としては咀嚼筋の触診(10箇所)を基準に評価しています。


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