矯正歯科
矯正治療とは

理想的な噛み合わせがわからなければ治療のファイナルのイメージ、つまり治療のゴールの設定ができないと思います。マラソンに例えるとゴールがどこかもわからないのにとにかく走りだすような治療で、はたしてそれで理想的な噛み合わせに辿り着くことができるでしょうか?それはできないと思います。
理想的には顎関節が適切な位置関係にあり、そのポジションで上下の歯が正しい位置関係で接触している噛み合わせですが、そんな状態にある方は一般的に正常と思われている方のうちごく一部です。3次元的にその一点に位置付けるのは至難の業ですし、人の一生のなかでそれをずっと、維持するということは現実として不可能です。絶えず上下の歯は接触し、夜間就寝時に過度の噛みこみや歯ぎしりなどがあれば常に歯の形態は変化をしており、歯の接触により維持される顎関節のポジションも変化を続けるということです。
つまりある程度の幅がある異常を来さないところに顎関節を位置づける、さらにそのポジションに上下の歯を並べるということ、それが理想的な矯正治療のゴールではないかと考えています。それは小児期に始める矯正でも成人矯正でも同じです。このように機能的に安定し、噛みやすい状態の歯並びというものは非常に審美的で美しいものです。ただし注意が必要なこととして、見た目だけを美しくすることも可能であること、またすでに異常な噛み合わせで長く過ごされている場合は歯がすでに形態を大きく変えてしまっていると被せ物を用いて正しい噛み合わせを作る必要が生じることがあるということです。
まずは、患者さまの現状を患者さまと私どもスタッフがお互いに正しく理解し、同じ認識を持つことから始まります。まずはカウンセリングから始めましょう。
矯正治療の流れ

1.カウンセリング
まずカウンセリングを行うための情報収集からスタートです。パノラマ、セファロというレントゲン写真を撮影し、口腔内の写真を撮影し、お口の模型を製作します。
2.プランの提示
二回目の来院時にそれらを用いて現状が平均値とどこがどのくらいズレがあるのかを説明します。それから患者さまにどういう治療が必要かプランの提示をいたします。スタートしてしまえばおよそ1か月に一度の来院となります。
3.治療開始
来院のたびに写真の記録を取りご希望があれば治療終了後にスライドにしてお渡しできます。歯を目的とするポジションに動かしたらそこから元の位置に戻ろうとする動きがでますので、治療に要した時間と同じくらいの保定期間が必要です。その間は取り外しが可能なリテーナーという装置を使用してもらいます。これをサボると痛い目に遭います。あとは正しい噛み合わせを維持すべく指示された間隔での検診をお願いしています。
矯正治療中のトラブル
一番頻度が高いトラブルが歯に接着してあるブラケットの脱離です。噛む力の強い方、片側でのみ噛む癖のある方、スポーツされている方に多いです。装置が脱離してしまった時点から歯を動かす力が伝わらなくなるばかりか、後戻りが始まりますから矯正期間の延長が起こる可能性があります。装置が付いてからはそれまでと同じ食事の取り方はできませんし、取らないための配慮が必要です。ご協力ください。
次に多いトラブルはワイヤーが折れてしまったというものですが、これは交換が必要となり、やはり矯正力が働かなくなります。もし変化を感じたらすぐに当院までご連絡ください
矯正装置を装着

通常上から装置を付けることが多いですが、およそ1時間かかると考えてください。最初はどうしてもそれまでより複雑な形をした物が口の中にあるわけですから、清掃がしにくくなります。変化したお口の中をよく理解してもらうよう歯科衛生士が説明し、清掃についてのご指導やアドバイスをいたします。その後も月に一回の来院時に清掃状態はチェックしますが、ご家庭でのチェックもぜひお願いいたします。
治療期間

小児期の矯正では成長の加速という位置づけになるため、成長のスピードを超えた治療は不可能です。ゆっくり時間をかけて成長の後押しをさせてもらう、そんな治療ですから、年単位で経過観察をしていくようになります。治療期間が長くなること、成長という予見不可能な部分があることから、途中で治療計画の変更が必要になることがありますので、あらかじめご理解ください。
矯正装置の種類
小児期の矯正では機能矯正装置という取り外し可能なものを使用します。顎の状態により様々な機能を持つ装置を選択しますが、代表的なものとしてバイオネーター、ムーのアプライアンス、ビムラー、タンガード、リップバンパーなどがあります。
成人矯正や小児期の最後でいわゆる矯正装置、ブラケットとワイヤーを用いて歯を並べていきます。当院では見える部分には透明な装置を使用し、奥歯にはメタルのチューブという装置を使いそこにワイヤーを通して治療を行ないます。また、矯正期間を短縮できるワイヤーとブラケットの摩擦の少ないデーモンシステムがありますが、ブラケットの見える側が半分メタルになります。
特殊な矯正治療
直径1ミリくらいのマイクロインプラントを設置し固定源とするMIAという治療方法があります。当院では採用してから1年半経過しますが良好な結果を残しており、数か月単位での治療期間の短縮が可能です。通常の歯の移動に使う固定とは一般には奥歯ですが、動きにくいものの多少は動きます。MIAでは骨に設置したインプラントを固定としますので固定源の動きが0です。そのためスピーディな矯正が可能となります。痛みや体への害はなく、設置の際に通常の治療に使用する麻酔を虫歯の治療時の1/5〜1/2程度使わせてもらいます。
また、コルチコトミ―というスピード矯正があります。これは歯を支えている骨にヒビを入れるオペをして、個人差はありますが最大の効果が発揮されれば6か月で治療を終えることが可能です。少なくとも治療期間を半分に短縮できると思います。ただし骨の成長段階にある小児には適応できませんので、対象患者は20歳以上と考えています。
この方法は歯を動かす時に生じることがある歯根の吸収が少ないメリットがあります。骨の内部での歯の移動と、歯を支える骨ごとの移動が合わせて起こるからです。また、骨折すると一度折れた部分は以前よりも強くなりますよね。それと同じで矯正が終わった後はヒビを作った部分も以前より強く治癒しています。つまり通常の矯正よりも後戻りが少ないのです。これら2つのメリットがスピーディに終わることよりも大きなメリットと言えると思います。






